レドヴィの初恋

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ぼくらはゆっくりと流れる月の光に手をかざしていた。川はそのまま海まで流れていくだろう。女の子は夜を恐れた。もう眠りたいと泣いた。ひとりだけ気丈な少女がいて、彼女は川に入って空にほうけていた。
まるで見えない岸のなかに吸い込まれていくようにして君はいなくなった。
眠っていた。
目覚めて、あたりを見渡すとぼくは川岸で、
朝だった
見上げていた。何もないところではなく、石も草もきっと風でゆらいでいて、その振動で熱が生まれ朝は暖かい。そして君はいなくなっていた。
        
家に帰ってしまっていた女の子たちはぼくらに朝食を持ってきた。サンドイッチ
そしてオリーブ
なにかを教えてくれそうでいて、それでいて何もいわず、君の話はでることもなく、朝はすぎて昼になった。フレトは本を読み始め、水面で反射した光で顔がやけていった。女の子たちは川に足をつけて、泳ぐ魚におびえながら指をつけた。
これってつかまえられるのかしら
ぼくはずっと奥まで渡って君を探した。
          
眠れる時間になると女の子たちはまだ赤い日がある間にと、いそいでバスケットを片付け、妹や弟の腕を引きずって帰ってしまった。目があうとそらしてしまうぼくは、いまだに名前を覚えられていなかった。フレトは帰ろうといった。ぼくは、ぼくはそうだね、と笑って、
うそをついた
帰り道でひきかえした。

夜は月の光を借りて、消えてなくなってはいないふりをした。
水は流れているようだった。月がなくなれば消えてしまっても気づかないだろう。
水は流れて海まで行っていた。ぼくは悲しくて泣いた。みんなと、
みんなと帰ればよかったと思った。