神よ、あなたはなぜ

夜よ、ぼくの友達を返してください。満月の前夜にあの子は死んでしまった。まみどりの草の上に倒れこんで、水を多くすすった土の上で、かなしみにくれてあの子は死んでしまった。たしかにあの子は不幸だったろう。ぼくが友達であっても、ミーシャが友達であっても、あの子の不幸は変わらないだろう。油絵のように重ねられた色、不幸と幸福、ある日ぼくらは日差しの中あの、森の中で、飛んでいく蝶を追ってあそこまで行ってしまった。ひっかいてしまったやさしく、塗り重ねた幸せを。
不幸は黒い色ではない、美しい桃色の、白い光を伴って、つやつやと空へ舞い上がりあの子はそれに心奪われた。ぼくらは、それを見て止めようと思ったか。ミーシャはただ、あの子は飛びそうとつぶやいた。空へと、舞い上がるやさしい天使の目をしていた。
すべてを愛せるか、すべてを愛せるよ
きみは言っただろう。
          
ミーシャは叫んでいた。泣きながら。どこから飛んで、どこから墜落したのか、草の上であの子は死んでしまった。あの子は不幸だったろう。森の奥にある、あの子の不幸とはなんだったろう。崩れて泣いた。ミーシャは叫んだ。泣きながら。わたしは不幸。友達を返して。神よ、あなたはなぜ。