おまえなんか嫌いだ。と言ったとき、向こう岸ではボートから降りた白いワンピースに、赤い夕日が転写されてめらめら燃えた。月がうすく空に光った。きみは蒼白していた。ぼくはまるく目を見開いて、言ってしまったことを後悔した。
川は流れた。満ち潮が遠くで起こるだろう。きみは何も言わなかった。また、また夜ひとりでぼくの気まぐれによって、涙を流すのかもしれない。なぜああいったのかはわからなかった。
ぼくは逃げるしかなかった。
三日月。