食べてますか?

食ほど家庭によって価値観が異なるものはない。その人の食のこだわり、作法によって生まれ育った環境が丸裸になるといっても過言ではないだろう。(こだわりがないことや無作法が悪いとかそういうことを言いたいのではない)それほど人生の蓄積が大きく影響するのが食である。
私の家は食に関してとてもよく気を使ってくれていた。まず震災にあうまでカップラーメンというものを食べたことがなかった。冷凍食品なんて存在も知らなかった。母がお弁当に時たま冷凍食品のエビフライをいれたりすると、冷凍食品はぺっとしていたらしい。ぺって。どんだけ生意気なんだ。(実際私は幼いころ、一番いい食生活だったと思える。運動会のお弁当は金持ちでもないのに重箱だった)それがすべてなし崩しになったのが被災である。淡路大震災により私はカップラーメンの味を覚えた。たぶん当初は抵抗もあったのだろうが、あのファーストフードに典型的な味覚の麻痺により、その後しばらくカップラーメンにはまる。不可抗力によってだが、これまで添加物等を口にさせまいとがんばってきた母には残念なことだっただろう(ちなみにジュースさえ100%モノ以外は飲んだことがなかった)。おかげで今ではジャンクフードからなぞの長い名前の料理まで網羅する不思議味覚になってしまった。
しかし私など小さいもので、私はその後中学校で友人にコンビニおにぎりの開け方を聞かれることになるのだ。子供の食生活が嘆かれる昨今、なんだかんだで両極端な時代だなと思うしかない森山である。