子供に戦争を理解させることは出来ない。

最近「世界が狭くなりました」と聞くけれど、たしかにネットやニュースで世界のどこでも景色を見ることが出来るようになり、世界を手に取るような物語が増えた気もしないでもない。けれど戦争がどこかで起きたことや、ましてや世界平和について実感がわくようになったかと言えば疑問だ。世界は広くなっても、彼らの「世界」に人間はいない。血のかよった自分と同じ人間が、友人と同じ人間が、家族と同じ人間が、いることを実感できていない。ただ世界という土地が広がっただけで、そこに命があるとは知らない。そんな世界は妄想の中にある、都合のいい虚像と同じだ。その地を踏みしめ、土地の人と会話をし、笑うことを経験しなければ世界を知ったことにはならないだろう。世界を知るとは地球を知ることではない。その土地の人を自分と同じ存在だと理解することだ。