フジテレビでカレーライスを耳にした

この時代にテレビでエンケンを耳にするとは思わなかった。桑田さんは誰も知らないのではと危惧していたけれど、私は受験生時代エンケンはっぴいえんどを聴いては暗くなったり開き直ったりしていた。冬が近づき、願書を出した後、一人で風邪予防のマスクをして、クリスマスシーズンの街中を歩きながら「しんしんしん」と聴くとほんと辛いんだ。もうなにをしているのかわからなくなるし、イルミネーションがチカチカ目の表面で泳いでいるし、すれ違うのは集団ばかりで、マスクなんて誰一人していないの。マフラーでそれを隠して、てくてく歩いているうちに脳だけ音楽に引きずりとられて、本当の意味で孤立した気がするんだよな。あんまり勉強ばっかしてたわけではないのに、精神的には追い詰められてたみたい。だからエンケンのカレーライスを聴いて寝図美に思いをはせながら、気持ちを取り戻すんだ。(しかしまったく別物の脳みそになって戻ってきていた気もする。)