(まどかまぎか6話)優しさが、一番の暴力に、なるんだね。(ネタバレ注意)

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もうだめだ…まどかには共感できない…この子はだめだ…優しいんだけどそれ以上に考えが足りない…これはひどいとおもってしまった…ほむほむがまどかの失敗のせいでがんばりすぎてかわいそうになる…
まどかまぎか6話。今回ははじめからなんだか異常にまどかがうざくて、このうざさはいったいなんだろうと思っていた。前回まではむしろ好きだったのに、あきらかにうざさが増し増しだった。あ、ほむほむはいつもどおりのほむほむでかわいかったですけども!とにかくそれが決定的になったのはあの最後のところだろう。ソウルジェムを奪うならともかくさ、捨てたらだめだろ、捨てたら。たとえそれ自体が魂だってことを知らなかったとしても、これまでの経緯からいってそれが大事なものだとはわかってるはずで、それを車の走っているところに捨てるなんて考えが足りなさ過ぎる。壊れる可能性だってあるってわかるはずだ。それなのにそんなところにまどかは捨てた。必死だったから、かもしれない。夢中で考える暇がなかったから、かもしれない。でも、魔法少女たちは命をかけて戦っている。すこしの失敗が死を招くような状況に彼女たちはいる。考える暇がなかったからってそのまま失敗したら彼女たちは死ぬのだ。まみさんがそうだったじゃないか、ちょっとの油断で命を落とす。そうした彼女たちの間に割って入って行動を起こすならば、少しの失敗だって許されない、という緊張を承知した上で動くべきだ。それなのに、さやかちゃんに変身してほしくない!じゃあとりあえずソウルジェムを捨てよう!なんていう、思いつきでそのまま行動に移すなんて浅はかすぎる。戦場にお花を探しにやってくるような行為で、あまりにも場違いで、そしてそのことに無自覚だ。戦場が、どういうものなのかリアルに理解できていないからそういうことは起こるんだろう。まどかも、魔法少女のおかれている状況がどういうものなのかを、リアルに理解できていないからこういうことになったのではないか。
魔法少女ならばソウルジェムがたとえ命そのものだと知らなくたって、捨てるようなことはしないだろう。願いと引き換えに受け取った戦いの象徴そのものを、たとえ無意識であろうが粗末に扱うことは出来ない。実際QBいわくこういう事例は少ないらしいし。でもまどかは部外者だから、たとえいくらかの思い切りは必要だったとしても、結果的に捨ててしまえた。さやかにとっては覚悟の象徴であるとしても、願いの象徴であるとしても、まどか(部外者)にとってはただの不幸の象徴だからだ。そして、不幸の象徴だという自分の判断が正しいと思い込んでいる。正しいこと、と彼女は言うが、彼女の正しいことが、全員の正しさではない。自分の正しいは相手の間違いかもしれない。
優しさが一番の、凶器になるんだな、って思いました。
平和ボケってまさにこういうことを言うんだろう。QBはうさんくさいけれど、魔法少女の争いに口出しができるのは魔法少女だけだというのももっともだと思った。まどかは魔法少女を確かに理解しようとしているし、とてもやさしいけれど、でもちっとも理解できていない。そしてそのことに、ちっとも気づいていない。まどかは彼女たちを、たとえ魔法少女になろうが自分と同じ少女のままだと思ってしまっている。つねに彼女は平和な立場から、命についてかたりかけている。無邪気にそれで彼女たちと話が通じると思っている。でも、戦っている彼女たちと、まどかとでは、すでに「命」自体がまったく違うものに見えている。それなのにまどかは自分にとっての「命をかける」「殺す」「死ぬ」と、彼女たちにとっての「命をかける」「殺す」「死ぬ」が同じだという前提で語りかけているのだ。だからまったく言葉が届かない。これは、たとえ死に直面しても、戦わなければならない状況にあっても、人は決して変わらないだろう、安全な立場にいる自分と同じだろう、という短絡的な発想があるからで、よく言えば彼女たちを信じようとする優しさでもあるけれど、一方で徹底した彼女たちへの無理解でもある。彼女たちを無理に自分の理解できる範疇に押し込めているともいえてしまう。自分とはまったく違う状況に彼女たちが陥っていること、だからこそ、自分には理解できないものがあるんだということ、それを配慮できることが本当の意味で、理解じゃないだろうか。本当に優しいのは、「魔法少女じゃないくせに口を出すな」と決して言わないさやかじゃないのか。
すぐにでも死んでしまう可能性のある毎日をすごしている魔法少女だって、昔はまどかのような少女だった。安全で、平和で、死におびえることなんてなかった。そのころの自分ならきっとまどかが言うことを正しいと思うだろう、まどかの言葉をきけばだれもがそう思うだろう。だから、まどかの言うことはもっとも正しいのだとわかっているはずだ。言われなくたってわかっていることだろう。そしてその正しさを、もう貫けない状況に自分がいるんだということも。まどかの優しさは、確かに優しさだ。でも、それは未熟な優しさだ。まどかはこれからもっと、自分の未熟な優しさによって人が傷つくところを見るだろう。友達をまずは殺してしまったし、これからもきっと、さまざまなことが起きるだろう。そのときに彼女は優しさをあきらめることなく、成熟した優しさを手に入れることが出来るだろうか。