最強ちゃんの命はわたしがもらいます

むかしから好きになるキャラクターは極端なパワーを持っている人物で、かれらと対等に傷つけあえるほど強くなりたいと思ったものだ。かれらのためにパワーバランスを整えてあげたかった。と同時に、「圧倒する強さでもってボッコボコにしたあとで慈愛と称してとどめだけは刺さないで見逃してあげて、それから仲間になってあげてもいいよと微笑みたいなー」なんて、最強への嫌悪と好意のいりまじった甘酸っぱい願望もあった。
最強の敵は、だれにも負けるべきではないし、主人公が勝つ予定なら先にわたしが倒しに行きたい。けれどただの人間で、ただの子供でぼんやりしている。そのままだと主人公に横取りされてしまうと思うと、まるで恋に破れたような気持ちになるのだ。だから決して負けない最強が、現れたらいいのにと思う。できれば悪役がいい。悪役で最強で、だれにも屈しないその人のことをぶん殴って蹴り飛ばして「参った」って言わせて仲間になって助けてあげたい。友達にはならない。