MOROHA

インパクトのある発言にするために、自分が認めたA以外は悪、みたいな極端で排他的な言い方をするのって、昔はわかりやすくてかっこいいと思っていた。曖昧さを許容しないで白黒つけちゃうかんじとか。キャッチーだよね。でも、昔はそういう発言で否定された側、つまりさっきの例だとA以外の人たちの反論なんて届かなかったし平気だったけど、そういう人の声がちゃんと届くようになって、発言者がそのたびに、一生懸命「あれは表現上のナントカで……」みたいに訂正しているのみると、がっかりする。これまでだって黙認されてただけなのに、なんの準備も覚悟もしてこなかったんだなって。少数の声がかき消される環境に甘えてただけなんだなって。時間の猶予があったのになあ……。
極端に発言することで、本来なら否定するべきでない人たちまで否定してしまうことになるのははじめからわかっていたことだ。白黒をつける、という作業で灰色である人たちをまるごと黒に放り入れることで、白の純度を増し、それによって発言にインパクトがうまれるわけだから。灰色の人たちを黒に染めることで傷つけるのだってわかってたはずで、そういうリスクも認めた上でインパクトがある方を選んだはずなのになあ……。傷つきましたって言われて急に慌てるのはどうなんって思うわ。気づかなかったって言うなら、鈍感よね。ただの。