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 異界のために概念を送り出す仕事

出窓のカーテンの向こう側に、花を咲かせている。だれのためでもないし、誰のことも好きじゃないけど。
   
どうして、こんな年月が過ぎてしまったんだろうとときどき不安になる。わたしは達成したいことがあるわけじゃないし、理想なんてないけれど、それでもこの年月の経過は恐怖だね。どうにかして生きているつもりでも、友人に性質について叱られたり、身近なひとの美学に反してしまって怒られたりする。わたしがしたいのは、だれかにとって正しい存在になることでも、私にとって正しい存在になることでもなくて、だれにも不快な気持ちにならない、近づくだけで心にさざなみを生むような存在にはならない、ってことかもしれない。マイナスになるぐらいなら0がいいって。思いながら。どうして人と会話をしたり日記を書いたり原稿を書いたりしているんだろうね。
嫌われると、嫌ってきたひとに怒りをおぼえるひともいるんだと、大人になってから知った。きよわな友達しかいなくて、嫌われたら、相手を不快にしてしまった自分を嫌になる子ばかりだった。わたしはみんなに強いとか、無敵とか言われてたけど、ほんとうはだれにも、嫌われたくないし、それでもなんだか、なんとなく、忘れられたくなくて、消え去りたくなくて、ここにいるんだろうし。そのへんの自業自得な矛盾がいちばんひりひり痛い。なんだろうね、目立ちたがりやなのかな。笑っちゃう。
   
消えたい、って思いながらこんな長い時間を、他人とコミュニケーションとったり、公の場所に片足突っ込んだりして生きていること。たぶん、消えたいだけが本音ではないんだろうって思いながら。だからこそ、消えたいって感情は一生ものなのだろうと思いながら。