子供と春は体温にすら無自覚

ひとつ・オブ・たくさん、であることが本当に嫌だけれどそれはもう抗いようがないことなんだよな。どれほど好きな音楽も本も絵も、世界にとってはひとつ・オブ・たくさんであって、それが世界のすべてには決してならないし、お金があろうが権力があろうが、…

他人の他人による他人のためのレッテル

自分のこと語るのに、他人がレッテル貼るためだけに作った言葉なんて借りてくるなよ、とは思うこともあるよ。せっかく、名前があるのに。レッテルなんか、あだ名にする必要はないのに。わかってもらいたいと思うたびに、自分の何かを安売りしなくちゃいけな…

I like it.

好きなものを作るというのは、自分の中に凡庸な部分を作るということだと思う。言い換えれば、他者と共有できる何かを持つということ。好きなものを見つけるというのは、自己表現のもっとも最初期なものだとも思う。世界と自分の共通項を見つけて、「私はこ…

「どうでもいいな!」をくれ。

新しい概念を与えることが教えることなのか、教わって得られることなんてないんだと教えることこそが教えるという事なのか、わからないけれど、学校の読書課題とかで先生たちが推薦した図書一覧に、啓蒙的なタイトル(偉人伝とか経済の考えかたとかそんなの…

十代に共感する奴はみんな嘘つき

青春は誰もが抱く「平凡」だ。それでも愛おしく思えるのは、その時期が特別に見えるのは、美しいことだと思う。大人になれば、本当に同じ言語を使っているのかわからなくなるぐらい、伝わらなさが世界を覆っていて、届けと願ったって、なかなかそれは難しい…

フィクションを現実にするには。

萩尾望都先生の漫勉を観ました。(漫勉はNHKでやっている漫画家さんの制作過程に密着する番組です)先生とは何度かお会いしてお話ししたことがあるのですが、とにかくフレッシュ、魂そのものがフレッシュ、という方で、物語ることへの喜びが、常に、まるで初…

春が来ちゃうわけです。

新しい詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』の最終原稿を仕上げました。春のうちに出る予定です。緊張もしています。『死んでしまう系のぼくらに』は本当にたくさんの人に読んでいただいて、部数が記事にしてもらえたりもしたし、想像以上にたくさんの人…

震えすぎて震える言葉

iPhoneでアプリを長押しすると震え始めますよね。消せたり動かせたりしますよね。あんな感じで原稿中は文字が震えている感じがあり、外に出す、発表するという行為はそれを止めるという感じに近いです。止まってしまえば震えていたこと自体がなんだか嘘だっ…

感情の娯楽性

買って3年間ぐらいクローゼットに放置してたカーディガンを着た。なぜ全く着なかったのか、ということがわからないぐらい気に入った。私は小さい頃、流行とか全然気にしてない子供だったので、急に友達とかが、今これが熱いみたいに言い出すのが超怖かった…

交換するビビデバビデブー

本が発売したのに、ブログの更新ができなかった。多忙だったからというのがすべての答えなのだけれどそれを言い出すといつだってやらなきゃいけないことは転がっていて、でもできていないというだけで、ここ数日は要するに逃れられない&体調への影響力がすご…

不適切な言葉が入力されています。

なにかがおきてただ悲しい、というかんじがよくわからない。突然ぽとりと落ちてしまったかんじで悲しい、というのはわかるけど、理由のある悲しさとはどんなかんじだろう。憤りが存在しない悲しさなんて、他にあるんだろうか。悲しみだけが存在することはそ…

感性で殴り合い

感性をそのままにさらけだしていくことと、感情で相手を説得しようとするのは全然違っている。理屈が主要言語である世界と、感性が主要言語である世界があり、説得というのは理屈の世界だから、そこで感情を持ち出すと何もかもの価値が落ちる。感性をほうり…

世界地図が完成しちゃった後の世界ってかんじね。

インターネット始めた時、小学生で検索という概念を知らないまま3年ぐらい過ごしたし、ぐぐるっていうのをくぐるだと思ったまま高校生になってたし、そういうの今は一周まわっていい思い出だと思ってる。マニュアルがないまま自分のわかる範囲で遊ぶという…

きみのメロディ

私は青春時代に本から離れて、歌詞を読むようになっていたのだけれど、松本隆さんや浅井健一さんの歌詞というのはジャンプがすごいということで、行間を読むという言葉が指し示す「行間」が絶妙なのです。歌詞にはメロディが付随していて、メロディがその隙…

ポエムでもいいし、うどんでもいい。

人がつねに正直であることを願う人間が一番ゲスい。という話があります。「ぶっちゃけ」という言葉が苦手だし、下品な話が嫌い。そういうのをまともに聞いてられないのは、お澄ましモードでしかないというそういう世の中の方程式も嫌い。みんなぶっちゃける…

未来永劫かわいそうではない。

大人の人が時々言う「じゃあ馬鹿なふりして聞いてみますね」とかいうの、初めて聞いた時面食らった。なんてこと言うんだ!と思った。これまでみんな必死で何かを馬鹿にして、そしてそれをとりつくろうため、自分は馬鹿じゃないよということを証明するために…

リアリティ輪廻転生

「死んでしまう系のぼくらに」という詩集を出版した私ですが、しかし、いまだにこれをタイピングしていると「新弟子」が漢字変換最有力として出てくるの、なかなかの闇を感じます。死体やら死んでるやら、ブラックな言葉はすんなり変換できないことが多い気…

「人間様、嫌いでございます。」

共感はうれしい。でも共感がほしいわけじゃないんだ、違うんだ……という気持ちがなければ、ものは作れない気がしている。私は、世の中を四捨五入して単純明快なダイジェスト版を作品という形にするのが仕事ではないと思っているので、というかそんなんおもろ…

少女漫画はいつだって刃

天才的な作品に触れたとき、もはや畏怖として感情が溢れ出るときがある。「こわいほどの天才」どころではなくて、「この人はもう、天才じゃないと逆に怖い!」って思うパターン。とにかく少女漫画の天才というのはこういうのがほとんどだった。それほどに、…

ノスタルジック満腹

「おなかいっぱい」がいつのまにか、ちょっと不愉快というか、疲労を生むようになっている。あたたかい日なたで甘いものを頬張って、おなかいっぱいになったらすやすや昼寝をするような、そんな幸福がたしかに過去、あったはずで、だからこそ今だっておなか…

宇宙が無限でも、いいの。無数の私がいるから。

誰かになりたいと思うことが、自分を肯定する第一歩だという話や、すべては模倣から始まるという話や、逆に、他人を崇拝した時点で自殺したようなもの、という話やらなんやらかんやらあって、とにかく夢だとか憧れだとかは幸せにするわけでも不幸にするわけ…

きみもあの子もコンテンツ

メタファーは現実をはぐらかすためではなく、現実を突破するためだけにあると、どこか信じている。星座が星空の意味と価値を拡張したように……というのはちょっと違うかもしれないけれど、でもとにかくごまかすのではなく、拡張する言葉。話は変わるけれど星…

ぼくが大人に敗北する日

2月といえば中原中也賞の選考がある月。というわけで今年も受賞作が決まったみたい。おめでとうございます! 中原中也賞:カニエ・ナハさん「用意された食卓」 - 毎日新聞 中也賞は若手の詩集に贈られる賞で、私も1冊目のグッドモーニングで受賞したのです…

アクロバティック思考回路

まじめなことばかり書くと(他者からはそう見えないかもしれないという説はいまのところ無視)、ブログを書くのもしんどくなってくるので今日はゆるくいきたい。私は基本的に考えるという行為が嫌いで、それは十代のときに一生懸命考えていたのが、どれもこ…

思い出せば、過去は消える

東京タワーにはじめて行ったときに、買ってもらった東京タワーのプラモデルはピカピカと光って、それが子供心にすっごくかっこよくてお土産の域を超えた愛着を持っていたんだけれど、しかしそれは阪神淡路大震災でばきっと折れてしまい、また行ったときに買…

主観vs主観のススメ

前に、芸人さんが、面白いと世の中でされている人は、誰よりもダントツで面白いことを言い続けているわけでなくて、すべったときにすべったことを悟らせないのがうまいんだ、っていう話をしていて、それはまあ美学で反論しようと思ったらいくらだってできる…

反射神経的感情否定論

世界で生きるということは、誰の味方をするか、ということをずっと選び続けることで、それでもすべての味方をする方法はないのかって、小さな頃は確かに思っていた。敵意がないと正義がたもてなくなるなんて奇妙な話だ。悪役が必要な正しさとはなんだろうか…

今だけしか生きてくれない、音楽。

初めて好きになったバンドがとっくの昔に解散していた時のショックがきみにわかるか。私がブランキーに脳みそ撃ち抜かれて、あ、頭って穴があいているとすっきりする!目が覚めた!って思った時、すでにブランキーは解散していたさ。行けるわけもない野外フ…

みんなフレンドリーだね。

インターネットだと趣味の合う人が見つけやすいし友達ができるみたいなの、心の壁が深刻すぎてインターネットでもきゃっきゃできない私からすると思ってたよりみんなの心の壁薄すぎ問題というのが浮上して、なんか急に肌寒くなるしやめてほしいです。趣味が…

ぼくは自虐ができない。

相手が安心して楽しんで聞ける自虐ネタのコツというのは、結局「本当はもっと恥ずかしい話が別にあってそれをひた隠しにしている」ということを絶対に気付かせない、というところにある。要するに今話したことこそが、私の最底辺エピソードです、と嘘だろう…