ネットがあるなら、共感はいらない。

人と人との関係に共感はそこまで重要だろうかと思う。他人は全く違う人生を生きて、わかるわけもないことを考えているからこそ、私は私でありあなたはあなたであるということを、大切にできる気がしている。もっと、相手がそこにいること、そのこと自体を愛おしく思えるようになれたらいい、そんな感覚で満たされたらいいとずっとずっと思っている。
   
たぶん私が詩を書いているのはそうした気持ちが強いからだろう。共感されることを期待して書いてはいない。そして、それはブログも同じ。私にとってネットというのは、同時代に暮らしている人たちとたくさんすれちがえるところで、なにも語り合わなくても、確認なんてしなくても、彼らとはとっくにたくさんのものを共有していると思っている。私たちはたまごっちを知っている。宇多田ヒカルの声を知っている、最新ニュースも地震速報も共有している。だから、「一般常識とは違う」「共感されない」ということが、互いの理解の障壁にはならないと思っている。信じている。価値観が違っていても、望むものが違っていても、相手の言葉を「自分と同じ場所にいる人の言葉」として受け入れることが、できるはずだ。わかりあうなんていうものより、それはきっと尊いはずだ。だから「共感できない」と言われることが怖いと思ったことはなかった。逆に共感されることもあって、それは不思議だし、とにかく、どちらにしたって幸せなことだ。読んで、なんかおもしろいなと思ってもらえたならそれはもう十分なこと。私は生きていて、あなたも生きていますね。ブログが本になることで、もっといろんな人にこの感覚が伝わったら幸せだなあ、どうだろうなあ、と考えたりする。私は私であり、あなたはあなたであるということ、それだけのことをそのまま、形にしていきたいです。
    
よかったらブログの本、読んでみてください。発売は来月27日です。
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 エッセイ集『きみの言い訳は最高の芸術』
  
 最果タヒにとって初のエッセイ集。
 ブログを中心に、雑誌・新聞に掲載されたエッセイも収録。