愛の縫い目はここ

更新滞りの介!申し訳ないの介!(遊んでたわけじゃないんだ!)
  
おひさしぶりのタイミングでなんなのですが、明日7/27、新詩集『愛の縫い目はここ』が発売になります。
『死んでしまう系のぼくらに』と『夜空はいつでも最高密度の青色だ』に連なる詩集3部作完結、ってことになっています。3部作。もちろんこのあとも詩は書くし詩集も出していくけれど、いままで、大きな一本の川とともにあるような感じだったんですね、でも次第に川は枝分かれもして行っていて、今より広く、いろんなところへ流れていこうとしている気もして(連載を同時期に複数のところでやらせてもらったりしてるのもあるかな)、きっと詩集を出すということがまた違う形になっていくだろうな、と思って、今回いったん「完結」という形をとりました。
  
詩集を作る、編む、というのはやはり特別なことなんだな、と今回改めて思いました。私は「詩集を出すぞ!」ときめたら、その中身が全部揃わないうちにタイトルを決めるのですが(ていうかそういうスケジュールになる、自然と。デザインとか並行して進めるので。)、今回のタイトル「愛の縫い目はここ」は、おっ、これいいかも、と思った時にはほとんどその言葉の中身を切り開いて見てなかったのだけど、まるでそのタイトルの内側を私より詩が知っているかのように、タイトルを決めた途端それに合わせて詩ができていく感じもしました。「あっ、糸って言葉を気づいたら書いてる」とか。デザインラフが上がって来たら、「縫い目」からでてきた波線のデザインが、「海」もイメージさせて、「あっ」と詩の方を見たら、海が軸となった詩もいくつかあって驚いたり。あとがきも、これは読んでみるとわかるんですけど、タイトルと関係しているんですね、読んでみてね、としか言えないですけど。これも、そんなつもりなかったのだよなあ、タイトルに呼ばれたように書いていた。でもそうやって書いたものが、それこそが芯にあるものだ、とも思った。私は私のことも言葉のこともよく知らないのですよ、それらのことを信じてはいるけど。やっぱり言葉は私のものじゃないし、勝手に動いて、私が把握しきれないほどの、歴史上培ってきた意味を内包しながら、運動しているのだなと思う。生き物ともちょっと違うな。大気の分子は常に飛び回っていると言いますけど(高校物理)、その「運動」をイメージしてます。いろんな人がその言葉を使うことでいろんな方向に加速度がつけられたその言葉が、今も飛び回っていて、私はそのスピードに引きずられながらしか言葉を使えない。それが快感なのだけどね。とにかく今回はタイトルに呼ばれるように詩ができ(おかげで今回書き下ろしがいままでで一番割合的に多いです)、それがまとまり、本になっていくことがいままで以上に極端で、書いている側としておもしろかったです。インタレスティングです。詩集というのは詩を集めるだけのことではなくて、もっと別の意味があるんだろうと思う。 予定通りになんてなるわけないしならなくてよかったよ。しかしあんまりに経験としておもしろかったのでこうやって書いてますけど、私以外にはたぶんこの「おもしろかった!」は伝わらないだろうな。で、そのぶん出来上がった本が読んでくれた人にとっておもしろければいいなとおもいます。
  
目の前に湖があって、そこに石を投げ込んだら波ができると思うんですけど、できるだけ大きい石を投げて大きな波を作る、というようなことだけを考えて、いつもタイトルを決めていて、要するにその石がどんなものでどこにあるかとか深く考えずに作るようにしているんです。圧みたいなもの。それが詩集を完成させるまでのエンジンになるので、馬力が必要なのだとおもいます。感覚で喋ってますが。「夜空はいつでも最高密度の青色だ」は、「青色の詩」の抜粋なんですけど、あれはタイトル考えていた時に、「夜空はいつでも最高密度の青色だ」って書いたらそのまま詩の続きができたんですよね。ようするにタイトルとして作ったのが先です。ついでに「死んでしまう系のぼくらに」については、「このタイトル通り詩には死が多く登場する」ということをインタビューで記者の方に言われて、それまで死が多いとか思ってなかったんでびっくりしたのを覚えています。今回はぬいぐるみを洗ってたら縫い目が乾かなくて「縫い目!」って独り言言ってたら、「愛にも縫い目があるのかな?」とふと思って、それをそのまま採用したんですけど、それがすごい速さで言葉として、詩集とともに完成していった感じがしていて、ふしぎでした。だからか「詩集を作った!」という感触がすごいです。詩集が詩の単位としてではなくて、詩のもう一つ上のレイヤーのものとして、階層が違うところでまた別の詩ができていったかんじがします。もや〜言ってること伝わってなさそうで、もや〜。いいんです、人に伝わるように話すことはできないと小さな頃から気づいていたぜ。でもだから詩を書いているのかもしれないし、伝わるか伝わらないかも個性なんだぜ。詩集「愛の縫い目はここ」ぜひ読んでみてくださいね。そうすればとにかく、この感触だけは伝わるような気がするし、それが実は本題なんだよ。すべてが、このタイトルのためにあったようにさえ思うような、それぐらい編み込んだ詩集です。(「縫い目」なのにね!)
  
よろしく!
  
  
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