スピード

大きな仕事の準備が大体終わり、これからはなんとなく楽しそうなレベルに突入しました。(ただし他の仕事はケケケケケとうごめいている。)私は校正が苦手なのですが、それを除けば原稿提出後の状態はほとんど考えなくていいこともあり、特に編集者さんの報告を聞くのが社会科見学のようで楽しいです。学生でこういう場面を見られるのはすごい貴重で、とくに編集さんってスーパーエリートなので、社会人に将来なるであろう私にとっては勉強になります。多くの方とは年は変わりませんが私と編集さんじゃ、マクドナルドで交わされる7歳と店員さんの会話並に話し方に差がありますよ。差自体はひしひしと肌で感じるんですけど、まだ模倣はできません。学生という立場を利用してそのへんは許してもらおうという魂胆です。

そしてまた、それ以上に編集さんのアグレッシブさには頭が上がりません。ほんとすんごいです。本を作るってのがどれだけの情熱と挑戦を必要としているのか、編集さんの仕事を見れば誰でもすぐに判ると思います。きっと社会で働く人たちの多くは、業種関係なくそうなんでしょうけれど、やっぱりそれを目にすると圧倒されます。そりゃね、創作だって情熱は必要だけども、あれはあくまで自己にのみ帰結するもの。どこどこで依頼されて書くったって、最終的に創作は自分のものであるし、もし器用に依頼にそったものを作れるなら、それは芸術家というよりは職人でしょう。働く人ってのはその職人の最たるものだと思うし、そこにある情熱と挑戦は半端ない。だって矢印が決まっているわけよ。どこに向かうか。新ジャンルを確立するとか、売り上げを上げるとか、そういう強烈なベクトルの上で彼らは全力疾走しているわけで、その速度には絶対勝てないよなぁ、って思う。創作にはゴールがない。ともかくもそもそもそもそやりつづけて、答えがある気がして探り続けるけれど終わりはないし、職人が走ることであるなら、創作は探すことであるのね。走るより速く探すことはできないし、その部分で勝てるわけがない。だからこそ私はそういう人と接してぎょっとして、しかしとても頼りにするわけです。編集さんはあのスピードに私を乗せてくれる人だからね。頼りにしないほうがおかしい! そして嫌われたり幻滅されることだけは避けたいので、創作だけはがんばります。もうね、そこだけですよ。そこだけしっかりしてたら見捨てられないと信じてやってるんですよ私は!(落ち着け)
  
そんな私の担当編集さんが一人アメリカに行ってしまいました…。さびしいです。けれど素敵な門出であるのですから、万歳して送り出したいと思います。というかもうメールその他したんですが。そして新しい担当編集さんよろしくおねがいします。仕事第一弾の締め切りは明日ですね、そうですね。……そうでしたね……。