る、ら、る

物語は卑怯だ、終わったとき私は目が押し出されるような痛みとともに涙があふれているのを感じる。悲しさや寂しさではなくそれは、単に物語が終わったために目が必要でなくなったからだ。いやこれは単なる錯覚であるのだけれど…。物語はひとつの人生を、ひとつの世界を完結させてしまうからもはやその目撃者である私の瞳も必要ではないような気がして、わめきたくなる、悲しくはない、涙は単に零れ落ちなかった瞳の代わりだろう。