TIMERSを聴きながら。忌野清志郎さんへ。

忌野清志郎さんへ。
宝くじは買わない、つもりだったのに、買う大人になっていました。けど一枚も当たらなくて、それこそ300円も当たらなくて、だから数に入れなくてもいいかなとあとで思いました。もらった宝くじは3000円当たったことがあるけど、それは除外だよね。若いと人の死に対して反応が薄くなるらしくて、そりゃ、自分が永遠にこのままあると信じているやつらなんだから当然なんだけど、「若さは残酷」という言葉を思うと、なんだか虚しくなります。今日はとても虚しい。あなたの訃報を伝えたニュースは、そのままインフルエンザのニュースをお伝えしはじめ、チャンネルをかえればヒットチャートが、ピコピコした音楽を垂れ流しています。あなたがいなくなったのに、変わらず流れ続けるこの時間こそが、残酷だと私は思う。
明日からまた私は目を覚まして、あなたの歌声を聴き、楽しさと、そしてしばらくは悲しさを胸にわたらすことでしょう。でもきっと私は変わらないで生きていく、それがとても切ない。CDはあなたの声を変わらず伝えると、わかっているから。なにが変わってしまったのか、あなたはいつまでもCDとテレビとライブの人だった。知り合いでもなく、もちろん友人でもない。あなたがいなくなったことを実感できる日が来るのかもわからない。けれどいなくなったという事実で今、胸が痛みます。あなたの歌をもっともっと聴いていたかった。CDでもテレビでもライブでもなく。同じ時間の中であなたが歌っているということ。その事実だけで、音楽は、そこにあった。ありがとう清志郎さん。あなたそのものが音楽でした。ありがとう。
   
のどの癌だったから、歌うために摘出しなかったのかなと母は言っていた。事実がどうであれ、もう清志郎さんは帰ってこないのだから、推測は野暮というものだけれど、病とはあまりに残酷だと思う。